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新しいDeFiの提案 ~なぜMakerDAOは”微妙”に感じるのか~

なまはげです。 今日は最近構想しているDeFiのアイディアについて書きます。しかしその前にMakerDAOの現状の問題点について整理したいと思います。特に初めて聞いた人ほど「MakerDAOって微妙じゃない?」と感じる現象について説明したいともいます。 なぜ、MakerDAOは”微妙”なのか MakerDAOの仕組みについて説明すると、金融等に詳しい人ほど微妙な反応をします。(私の親戚に金融関連の人が数名いらっしゃるのですが、その方達の反応が特に微妙で面白かったです笑) 基本的な仕組みは置いておいて、なぜこのような反応が多いか見ていきたいと思います。 CDP作成者にリスクを一方的に押し付けてリターンがない上にコストも支払う これが一番大きいと思います。Stablecoinをドルに一切触らずに作成しようとするとリスクを誰かが取らなければなりません。特に今回はETH価格の下落リスクに対処する必要があります。そのリスクは誰が取るのでしょうか? もちろんLiquiateの可能性をひめたCDP作成者とDaiホルダーです。正確にはLiquidateするまでの価格下落リスクと、Liquidateしてから10%下落するまでの下落リスクをCDP作成者が取っていて、残りはDaiホルダーが取っています。 また、Stablecoinを発行するということはある意味でオプションとも言えます。このオプションのコストを支払うのは誰でしょうか。そうです。CDP作成者ですね。Stability Feeという形でコストを支払っています。あれ?このStability FeeはDaiホルダーでもCDP作成者でもなくMKRホルダーにいきます。謎ですね。彼らはガバナンスコストしかtakeしていません。通常の金融では数%以下の手数料という形でそれを実現しているのですが、今回はなんと年利で16%です!!! 現実のオプションでもプレミアムはオプションの売り手がゲットしています。 頭おかしいですね。 また、コストとリスク(の一部)をCDP作成者がtakeしていますね。これじゃあなんのためにStability Feeというコストを払ってまでリターンを求めたのかわけわかりませんね。なぜ人々がStablecoinを求めるかというとリスクをtakeしたくないからです。 なのにリスクをCDPホルダーやDaiホルダーが支払っているのはおかしいですよね。 これにはドルに触らずにstableにするには極端な価格下落コストはtakeしないといけないという仕方のない一面もあるのですが、それにしてもCDPホルダーがtakeしなければいけないリスクは異常です。 コミュニティの縮小でしか価格をあげられない Dai価格が1ドルまで上がらないとどうするか。Stability Feeの値上げによる供給量の削減です。 要はみんな使うな、ということです。 これ、インターネットビジネス全般の常識から大きく外れています。インターネット内のビジネス(SNSなど)の常識は、「アクティブユーザーを増やすのが第一優先」です。なのにこれは供給量を下げる、すなわちアクティブユーザーを減らすことで目標を達成しようとしているということです。 YouTubeで健全な運営のために「違法動画を一度でも見たやつはすべてban」みたいな感じですよね。 これはプラットフォームとしての欠陥を抱えていると言えます。 MKRホルダーが一番 このDaiはMKRホルダーの利益を最優先して設計されています。 供給量を減らすためになぜわざわざStability Feeを通してMKRホルダーの利益を増やさないといけないのでしょうか。もっと健全なリスクーリターンの関係に持っていくことを不可能なのでしょうか。 結局のところ、MKRホルダーの利得を最優先していて、エンドユーザーに対する配慮ができていないという点があります。 どんなDeFiが必要か ではどんなDeFiが必要なのでしょうか その要件をまとめていきます More Risk More Return この一言に尽きると思います。 リスクをtakeする人は多くのリターンをもらう。逆にリスクを減らす人はその分のFeeを支払ってその代わりにしっかりリスクを減らしてあげる。 これが成立しない限り金融としては使われないと思います。 シンプルに、利害関係を複雑にしない なるべくシンプルにワークする仕組みを作るというのもポイントです。 複雑すぎるシステムはそれだけで競合に対して弱くなります。(その一方で競合がいない場合なんとなくでプライシングがつく場合もあります、今のDaiのように) そしてよくわからない利害関係を作らないということも大切です。余計な利害関係は余計なコストにつながります。 新たなDeFiのご提案 そこで提案したい仕組みが以下のような仕組みです。 概要としては手数料を支払いStablecoinを発行する人(Publisher)とETH価格下落リスクをとるひと(Risk Taker)の二つに分かれます。 Publisher こいつの役割は至極単純で、ETHと手数料と交換でStablecoinを手に入れます。 そしていつでもETHと交換できます。 Risk Taker イメージ的にはUniswapの流動性供給に近いです。 担保となるETHを供給します。彼らのメリットは二点です。 1. ETH価格が上昇するとPublisherの担保分の価格上昇分も受け取れる レバレッジ取引のようなことが可能になります。 例えばPublisherが10000円分のETHを預け、Risk Takerが10000円供給し、ETH価格が1.5倍になった場合、Publisherの担保の価格上昇分である5000円はRisk Takerにいきます。するとRisk Takerが所有するETHの現在価値は10000×1.5 + 5000で20000円分になります。 2. Publisherの手数料収入の一部が金利になる これはそのままです。Uniswapの流動性供給と同じように手数料に一部がRisk Takerにいきます。 一方、リスクは次の二点です。 1. ETH価格が下落するとPublisherの担保分も負担しなければならない 先ほどの逆です。先ほどの例で言えば、ETH価格が半分になるとRiskTakerの担保の現在価値は10000/2 – (10000 – 10000/2)で0になってしまいます。 2.引出額に制限がある システム全体の担保額がある一定を下回らないようにするため、Risk Takerの担保額がある一定水準以下の場合は引き出しができません。 また、一つのアカウントがまとめて引き出すことがないよう、一つのアカウントの一度の引出額には制限があります。 だからと言って引き出すことができないわけではなく、Set Withdrawalという概念があり、市場で一定数のステーブルコインを調達して、そのステーブルコインとETHの交換とETHの引き出しを同時に行えばその分引き出すことができるという仕組みです。 ステーブルコインを調達したタイミングにより利得は変化しますが、引き出すことは可能です。 この仕組みのメリットデメリット メリット メリットはリスクをとってリターン(手数料収入)を手に入れる人とリスクを減らしてコストを支払う人でしっかり分かれている点です。きちんとここが分かれていることで金融システムとしてワークするようになります。 また、利害関係が明快でプライシングがしやすい点もMakerDAOと比べ、ガバナンスリスクを低減しているポイントです。 デメリット ETH価格の大きな下落に無力です。この場合、Risk Takerの担保がそのまま没収されるようなことになりかねません。 また、Risk Takerに対してきちんとしたReturnを支払うことでシステム全体の流動性を担保してあげなければこのシステムが回らないことにも注意が必要です。 まだ決定していない重要な点 Publisherが支払うコストの価格をどう決定するかのアルゴリズムを決めることが非常に重要です。 このコストはETH価格のボラティリティに対して増加する関数と言えますが、これをどう決めるのかが非常に大事です。 また、1ドルにペッグしない場合、どの変数をいじるのが効率的なのか考える必要があります。現時点では、ステーブルコインとETHの交換レートがその一例として考えられます。(ステーブルコインが一ドルを下回ると交換レートをあげ、上回ると下げる) また、ETHの価格オラクルに関しても考える必要があります。  

Daiホルダーの利得を計算してみた(基本から)

なまはげです。 今回はMakerDAOのDaiについて、Daiホルダーの「期待利得」について考察しようと思います。 Daiの仕組み まずはDaiについておさらいです。(詳しいことはカナゴールドさんのこの記事が非常にわかりやすいです)DaiはEthereum建てで発行されるステーブルコインです。 担保額は借入額の150%以上(10000万円のDaiを借りようとしたら15000円のEthereumの担保が必要)です。借り入れるとStability Feeという金利が発生します。また、Ethereumの価格は常に変動します。 ここでもしStability Feeの負担やEthereumの価格減少によって担保率が150%を切った場合、強制ロスカットが入り、(借りた額 + Stability Fee)×1.13が没収されます。(10000万円借りていたら11300円没収される)この1300円分は担保を維持しなかった罰みたいなものです。 さて、DaiはEthereum建て、と言いましたがDaiを持っている人はいつETHとDaiを交換できるのでしょうか。 それは誰かが強制ロスカットされた時です。その時、ロスカットされたETHは市場に出回り、Daiで買うことができます。その時3%Offになるのでちょっとお得です。

DaiのDev版、Saiを完全理解してみる 番外編 〜なぜ Stability Feeをあげるのか〜

更新が遅れていましたすいませんなまはげです。 ゼルダの伝説 Breath Of The Wildが楽しすぎて不安です。 自由度半端ないです本当に。 任天堂様ありがとうございます。ちなみにゲーム下手なので死にまくってます。ごめんねリンク君。 さて、今回はDaiの番外編ということで最近巷のJKの間で話題沸騰のDaiのSatbility Feeをどうして値上げしているのかについて説明します。 最近、Stability Feeを3.5%に値上げすることが投票の末、承認されました。ただ、それでは足りないという話になり、今度は7.5%に値上げすることとなりました。値上げの理由としてはDaiの価格が1ドルを下回っているからです。今回はどうして1ドルを下回ることが値上げにつながるのか、それを技術的に理解してみようと思います。 *ホワイトペーパー+コードの情報だけで基本書いているので間違い等あれば教えてください。

DaiのDev版、Saiを完全理解してみる その3 〜CDPを完全理解しよう!〜

今回はメインのトークンの仕組みを規定しているTub.solとTap.sol(紛らわしいですね)を完全理解していきたいと思います! まずはCDPの動作を規定しているTub.solについて見ていきましょう! Tub.solは主に担保の扱いとCDPのオペレーションの二つの部分に別れています。それぞれ見ていきましょう。

DaiのDev版、Saiを完全理解してみる その2

今回は管理者が利用可能なFab.sol、Mom.sol、Top.solを見ていきます。 下の写真の上三つです。   まずはFab.solから。これは初期設定を担うコントラクトです。こいつがいることでFab.solと矢印で繋がっているコントラクトがデプロイされます。特にGemFabという関数では、DSToken(ERC-20をカスタマイズしたもの)のコントラクトをデプロイすることで各種トークンを作成して、そのアドレスをTubFab(Cup→CDPの動作を規定するコントラクト)のデプロイに利用しています。

DaiのDev版、Saiを完全理解してみる その1

どうも田原です。 やっと卒論終わりました。なのでこれから本格的にブロックチェーンに時間を割いて行きたいなあと思ってます。(と言いつつ怠け癖が治らないのでなかなかそうはいかなかったりします笑 現に今もモンハンでババ○ンガを狩りながら書いてます) 自分の興味のある領域が今の所、DeFi(分散型ファイナンス)、特に結のような金銭をプールしながら貸し借りをあまり意識しないで貸し借りできるシステムのようなものを作りたいなあと思ってます。 そう考えるとDai(ユーザーが担保したEthereumを元手にしたステーブルコイン)やCompound( 担保を元手に資金を貸すサービス)なんかが近くて、この仕組みをまずは知ろうと思います。