三体

【ネタバレなし】中国のSF小説、「三体」が刺さりまくったはなし

どうも。多忙と体調不良で不眠が続くなまはげです。 昨日もいつもの通りねれなかったのですが、昨日の不眠はエキサイトでした。(意味不明) そう、中国で2100万部売り上げ、ついに日本にも上陸したSF小説「三体」(劉慈欣 著)を読んでいたのです! 最初「中国人が書いたSF小説なんて大したことねーだろ」と思ってナメてたんですが、クソ面白い。私の中二病の原点となった伊藤計劃「虐殺器官」以来の興奮でした。その後、中二の私はSF小説を読み漁ったのですが、よくわからない内輪ノリとか多くて(なんかベンチャー界隈っぽい感じ)すぐ飽きました。 それはともかく、この小説面白い。なるべくネタバレなしでちょっと解説していこうと思います。 なぜ「中国人にSFは無理」と思っていたか 別に人種差別しているわけではありません。中国という国の問題です。SFに必要な要素として2つあります。 一つは飛躍した科学技術。これは当たり前ですね。これを想像するためには最新の科学技術にアクセスできる必要性が高いですが、最近の中国ならまあ、大丈夫でしょう。ネットもあるし。(ただしここにも大きな罠があります) そしてもう一つが権力。強力な科学技術を扱う小説には敵でも味方でも必ず権力が登場します。強大な科学技術を作る、もしくはその標的になるには権力を持った強大な勢力でないと割が合わないのです。一昔前の中国で、もしかしたら今の中国で、そんな小説を堂々とみんなが書くことができるでしょうか。 答えはNoです。 制限された言論と徹底的なプロパガンダは人々に権力との同調圧力をかけ、想像力を阻害します。すると第一の要素、科学技術を思いつくのもきつくなります。こんな土壌で面白いSFなんて出てきません。 近年は昔ほど圧力が強くはなく、ネットから様々な情報が流れてくるとはいえ、これは辛い環境です。加えて数十年前はもっときつい統制下で「先輩」の作品もほとんどない有様です。中国語という独自言語圏なのに。 SFは中国人にとっては数学という世界共通フォーマットがある科学技術よりも追いつくのが難しい領域です。 だから、華僑とかならともかく、中国で生まれ育った中国人が面白いSFなんて書くわけがないのです。 ところが、こんなバケモノが出てきました。本当、中国おそるべし。 ここから本題に入っていきます。さて、何が面白いんでしょうか。 徹底的なリアリズム 物語は文化大革命の狂乱の中で父親を殺される一人の少女と、狂いに狂った人々の熱狂ぶりを映し出します。そしてその後少女は辺境に流れ着き、権力者にひっぱたかれたりもう散々な目にあいます。ここまで全くSF要素0です。そしてその描写のリアリティが凄まじい。 そして舞台は一転して40年後の中国に切り替わります。ところがここでも超科学は出てこない。あるのは次々に自殺したり死んでいく科学者、そして視界に映る謎のカウントダウンに悩まされる科学者である主人公。 そんな主人公の前に謎のVRゲームがドン!現れる。もうこれだけでゾクゾクしますよね。でもまだ超科学はほとんど姿を見せない。この謎のVRゲーム「三体」こそが主人公と読者をSFの世界へ徐々に誘う案内人の役割を果たしていきます。 このSFの世界観に到るまでのリアリティがものすごく自然に読者を引き込んでいきます。 特に冒頭の文革の描写はこの作品の根幹に関わるだけではなく、この作品の世界観・人間観を端的に表しているのですが、あのリアリティは中国人にしかできないと思います。(ちょうど庵野監督が東日本大地震をテーマに「シン・ゴジラ」作ったのと同質のリアリティです) サクサク進むストーリー ストーリー上の無駄がほとんどないのも魅力です。よくSFにありがちな「中央には巨大なコンピューター群があり(中略)巨大なファンの上に鉄パイプが一本通っていた」みたいなクソ長い機械の描写や、ラノベにありがちな「彼女は白いブラウスに(中略)」みたいな作者の性癖を晒すだけの無駄にながいファッションショーもない。鉄パイプとかブラウスとかどーでもえーねんって話ですよ。 この三体は結構長い作品ですが、無駄な描写がほとんどないです。 晒されている作者の性癖といえばやたら無駄に美少女をミンチにしたがる猟奇趣味くらいでしょうか。あれだけは性癖としか思えません。 ほんと、それくらい無駄がない。 その上場面がサクサク進む。5〜6ページ書いたらすぐ違う描写に行く。同じ描写をダラダラ続けない。読者がついてこれる範囲でサクサク色々な描写を織り交ぜて行く。 日頃140字以上の文章を読まない我々には打ってつけだ。 なんだかんだで魅力的なキャラクター そして最後はSFの重要要素、「キャラ」 上述したようにこの作品ではほとんどキャラクターの外見的描写がない。だから見た目とかは各自で補完するしか無いのだが、それぞれのキャラクターは本当に魅力的。 弱々しいが決断はきちんと下して行動する主人公。無骨で無礼だが主人公を気づかい、その上とんでもないファンプレーを連発する最強警察官。柔和だが芯のある熱い女性。登場こそ強キャラ感あったのに、小物臭プンプンで退場する男…etc 魅力的だがどれも『王道』だ。巨乳ロリくらいには王道だ。でもこの王道は決して非難ではなく、王道をうまく生かして読者が入り込みやすく、面白い物語に仕上げている。 ほんっと素晴らしい。 まとめ 読め。amazonのリンクやるよ、ほら。 そして俺と一緒に2020年の第二巻発売まで待とうじゃないか。 なに?中国語が読めるだとぉ!? 俺に絶対ネタバレすんじゃねえぞ!絶対だ!!!