EOSREX 〜EOSのDeFiは成立するか〜

EOSREX 〜EOSのDeFiは成立するか〜

EOSで割と大掛かりなプロジェクトであるEOSREXというDeFiが始動しました。大手BP(Block Producer、マイナーみたいなもん)のeosnewyorkが始めたプロジェクトです。

EOSでDeFiと聞いた時には「んなの成功するわけねーじゃんwww」というノリだったのですが、サクッとですが調べてみるとなかなか面白いなあと感じたので備忘録的に書いておきます。

なぜEOSのDeFiは「よくない」のか

まず大前提としてEOSはブロックチェーンではありません。

とかくといささか大袈裟なのですが、実際に触ってコントラクトなどを書いてデプロイしてみるとよくわかります。EOSは「ステートをむやみにいじれないようにすることで暗号通貨を獲得したクラウド」なのです。クラウドとブロックチェーンのいいとこ取りをしてみた、という感じです。競争的なアルゴリズムであるDPoSでステートを確定させ、それをマイナー(BPなど)で共有することで二重支払いなどのデジタル上で通貨を発行・決済する際の問題に対処させる一方で、クラウドのようなスピードと動作の柔軟性を獲得したシステムと言えます。

そうした中でEOSにはEthereumのような自律分散的な金融は成立し得ない特徴があります。

一つ目はコントラクトがいつでも編集可能であるという点です。Ethereumでもアップデート可能なコントラクトの記法はありますが、DaiなどのDeFiではあえてアップデート可能な部分を制限することで運営が必要以上に介入しないことを保証し、自律分散的な仕組みを維持しています。一方EOSは基本的にコントラクトは編集可能なのでこの保証が成り立ちません。したがって自律分散的な挙動は運営の良心に委ねられてしまいます。

二つ目はEOSはコントラクトそのものにEOSを持たせることはできません。なので基本的には運営のウォレットに送金することになります。そのため、ノン・カストディアルというDeFiの強みは活かせません。

なので純粋な金融アプリケーションとして期待するのはあまり筋がいいとは言えず、それなら当局に届出して既存のサーバー・クライアントで金融システム構築した方がいいんじゃない?という話になるわけです。DeFiなら自律分散的なコントラクトがかけるEthereumでよくね?となります。

「筋がいい」EOSのDeFiとは?

筋がいい、ということは要は「EOSの強みや特徴を生かしている」という意味です。

それは一言で言うとサービスの本質が金融以外にあるものが筋がいいと言えます。言い換えると、あるメインのサービスが副次的に金融としての役割を果たすということです。

たとえば、EOSで盛んなギャンブルに流動性を供給して、資金のショートを防ぐ代わりに手数料の一部を受け取るDeFiとか考えられます。この際の本質は流動性を与えて金利を得ることではなく、ギャンブルにあります。

このようにあるシステムをうまく回転させる副次的な役割としての金融がEOSの強みを生かしたDeFiの戦略であると言えます。

EOSREXとは?

では、EOSREXの話にうつりましょう。

こいつはなんなのか?

これ、要は計算資源のシェアリングです。よくEOSはコントラクトの実行がタダと言われますが、これは半分嘘です。EOSでトランザクションを発行するにはCPU/NETと呼ばれる計算資源を借りなければいけません。これはEOSトークンをステークすることなどで得られます。ステークしたEOSトークンの量に応じてコントラクトの計算を行うことができるようになります。

こんな感じでステークすることができます(Scatter)

ただ、場合によっては計算資源が一時的に欲しい場合があります。逆に計算資源が余っていることもあります(今の僕がそれです)EOSREXはREXトークンを購入し、その分の計算資源を他者に貸すことができます。この際の利用料の一部が金利となってREXトークンとEOSトークンを再交換した時に戻ってくるのです。(ちなみにREXトークンは厳密にはトークンではないらしく、取引などはできない)

また、REXトークンを買うには誰かしらBPに投票することが求められますが、REXトークンを購入する時にはその投票していた相手へのステークを継続してくれます(便利!)
大手のBPであるeosnewyorkらしい機能です。

ここまで見てきた通り、EOSREXの本質は金融ではありません。EOSが今後発展していくには不可欠な計算資源の流動性の向上を行うことが本質です。したがってREXトークンを預けていることによる金利は金利というよりはシェアリングによるマイクロペイメント的なFeeと考えるのが自然です。

すると謳い文句のDeFiとしてEOSREXを見ていた時とは一変して非常にナチュラルな、EOSの特徴を生かしEOSをさらに発展させるような「筋のいい」プロジェクトと言っても過言ではなくなりました。