Daiホルダーの利得を計算してみた(基本から)

Daiホルダーの利得を計算してみた(基本から)

なまはげです。

今回はMakerDAOのDaiについて、Daiホルダーの「期待利得」について考察しようと思います。

Daiの仕組み

まずはDaiについておさらいです。(詳しいことはカナゴールドさんのこの記事が非常にわかりやすいです)DaiはEthereum建てで発行されるステーブルコインです。

担保額は借入額の150%以上(10000万円のDaiを借りようとしたら15000円のEthereumの担保が必要)です。借り入れるとStability Feeという金利が発生します。また、Ethereumの価格は常に変動します。

ここでもしStability Feeの負担やEthereumの価格減少によって担保率が150%を切った場合、強制ロスカットが入り、(借りた額 + Stability Fee)×1.13が没収されます。(10000万円借りていたら11300円没収される)この1300円分は担保を維持しなかった罰みたいなものです。

さて、DaiはEthereum建て、と言いましたがDaiを持っている人はいつETHとDaiを交換できるのでしょうか。

それは誰かが強制ロスカットされた時です。その時、ロスカットされたETHは市場に出回り、Daiで買うことができます。その時3%Offになるのでちょっとお得です。

Daiの「利得」を考える

以上のことを踏まえてDaiホルダーの「期待利得」を考えてみたいと思います。

ここでいう「利得」とは「Daiホルダーが受け取ることのできるEthの量の期待値」と捉えてみます。すなわち、Daiホルダーが交換可能と考えるEthの総量とDaiの発行枚数との比と捉えます。そしてそれをある時点tからのETH価格の変動率 r の関数として捉えることを最終目標とします(すなわちETHの価格がr%変化した時にETHの受取額がどれくらい変わるか)

これはDaiを借りた側がロスカットされるかされていないかで大きく変わります。ロスカットされていない担保の価格変動リスクは全て借りた側が吸収してくれます。そのため期待できるEthの受取額は1 Dai = 1ドル分のETHと考えて良さそうです。

ロスカットされてしまったEthの場合、tまでにロスカットされたETHで市場でうれ残っているものがある場合にはその分(Bとする)価格変動リスクを背負うことになります。一方で罰則分の13%も一緒に入ってくるのでその分ETHの受け取り期待額は上昇します。

さらにETH価格変動率がStability Fee(sとする)以下の場合、Daiを借りている側の負担は増え続けるのでロスカットされる人が出現します。今回はこれを価格変動率が1%減るごと(r<sの場合)に一定の割合(定数Lとする)でロスカットされる人が出現するとします。

以上のことから1ドルを基準として追加的に得られる利得P(r)(単位はドル)を定式化すると

P(r) = {DAI_all – B  + B(1+r)} / DAI_all – 1

= Br / DAI_all (r > sの時)

 

P(r) =  {B*(1 + r) +DAI_Liquidated  + DAI_left * 1} / DAI_all – 1

= {- 0.565L*r^2 +(1.13sL – 0.13L +B) r  – 0.565*s^2 + 0.13sL } / DAI_all (r < sの時)

 

ただし、

DAI_Liquidated = L*1.13*(1 + k)をkについて0~s-rまで積分したもの

DAI_Left = (DAI_all – (s-r)L – B)

DAI_all = DAIの発行総量

s = Stability Fee

r = 価格変動率

B = 売れ残りのETH(今回は定数として定義⇦ほんとはETH価格の減少関数)

L = 1%価格下落した場合のロスカット率(一定と定義)

とする

 

なんかよくわからない感じだと思いますが、ここで図示します。

 

これらの概形は以下のようになる。(手書きで申し訳ありません、またまだ修正していない箇所があります)

ただし、正負や数字の大小は各変数や定数の値に依存するのであてにしてはいけない(戒め)

また、この関数をStability Fee sの関数として捉えて見る。

すると

P(s) = Br / DAI_all

P (s) = {-0.565s^2 + (0.13L + 1.13rL )s – 0.565*r^2  + rB – 0.13rL } / Dai_all + 1

 

概形は上図とほぼおなじ形になる。(細かい値は違いますが書くのが面倒臭い…)

これでわかることは以下のことである

  1. Stability Feeの増加は必ずしもDai価格を上昇させるとは言えず、過剰なStability Feeの増加は二次関数的に利得を減少させ、結果的にDai価格を下げるとみられる。そして過剰なStability Feeの設定の可能性がある以上、ガバナンスの失敗は存在すると考えられ、ガバナンスリスクの存在が考えられる。そしてそれは市場がStability Feeの設定への疑問が大きいほど大きくなる。
  2. 価格変動の二次関数として(上に凸)表すことができる
  3. CDPにより価格下落リスクを吸い込むには限度があるため、ETH価格のボラティリティが大きいと利得はへる
  4. ETH価格が中程度に減少する場合はDaiは高いヘッジ効果をうむと考えられるが、過剰に価格が下落すると返って利得はへる

ただし、上図ではr>sの場合、rの上昇に比例する形で利得が上昇したが、実際にはこの際ETHは売れることが考えられるのでB ≒ 0としてほぼ利得が上昇しないと考えられる。

何か間違いがあれば教えてください!!!