#おかしいのは貨幣制度?ブロックチェーン? ステークのない通貨は適切か

#おかしいのは貨幣制度?ブロックチェーン? ステークのない通貨は適切か

ブロックチェーン界隈でよく必要な概念として語られる「ステーク」。

主にトークンを自分で自由に使えないようにロックしておくことで、エコシステムのメリットにならない違反行為を行なった場合に没収などの罰を与えることで、ユーザーに強力なマイナスのインセンティブを与えることを目的としています。

これ、ブロックチェーン界隈だとPoSやDaiのCDPなどを通してその必要性は広く浸透していると思います。

ただ、このステークという概念を説明するときブロックチェーン界隈以外の人にはそこまで受けが良くないというか、「必要性はわかるけどそんなに熱弁することっすか?」という冴えない反応が多い気がします。特に非投資家の方にはウケが悪いです。

ということで今回は歴史上、ステークがどのように働いていたかということについて書いていこうと思います。

善意に依存した通貨

この原因について考えて見たのですが、「現行の通貨が何もステークせずに発行されているから」という点が非常に大きいと思います。現状の通貨は「完全な」信用貨幣、つまり何もステークされていない通貨(強いて言えば政府の信用がステークされている)だからです。

逆に言えば現在の通貨制度は政府、および間接民主制の善意に依存した通貨であるということができます。

この辺で若干「あれ、ステークがおかしいんじゃなくて、現在の通貨がおかしいんじゃね?」とちょっと思いませんか?

そうです。

現在の管理通貨制度は歴史的に見れば異端です。このような「ステークのない通貨」は存在したのでしょうか?

少し歴史的に見て見ましょう。

通貨の4類型

通貨には歴史的にみて4つの類型があると勝手に考えています。

1.貴金属をステークする通貨

これが歴史的に最もポピュラーな通貨です。

貴金属を「ステーク」?と思われるかもしれませんが金貨や銀貨がそうです。

金貨に含まれる金は金貨の発行主(多くは領主や国王)が、”ズルをしすぎないように”ステークしたものであると考えることができます。なぜならもし改鋳によるインフレによって

通貨の価値 < 通貨に含まれる貴金属の価値

となったら金貨を使わずに溶かして売ればいいのです。そうすることで貨幣は流通しなくなり、それが悪質な改鋳に対するマイナスのインセンティブを与えることができます。

(ただし現実では主にヨーロッパで馬鹿な国王が改鋳を繰り返したために民衆が金貨銀貨を売り払い、金銀不足になったり、貨幣が使われず経済が停滞した過去もあります)

よって金貨銀貨は「ステークされた」貨幣なのです。

2.卑金属で作られた少額貨幣

これは銭貨とよばれる銅や鉛などの卑金属を用いた貨幣が有名です。

1番の有名どころだと中国の永楽通宝や秦の始皇帝が発行した半両銭あたりですかね。

これらの通貨は卑金属を用いて少額の貨幣を作成しています。材料費と額面の価格が小さい、もしくはマイナスになることもあるため、ステークという概念はそこまでありません。

少額なので価値としての役割よりも利便性、価値の流動性を高めて経済を活性化する血液としての役割を担っています。

3. 現実上の資産をステークして発行される信用貨幣

先ほど追記的に「ヨーロッパでは通貨の流通が止まった」という話を書きましたが、その間人々はどんな価値の交換手段を用いていたのでしょうか?

詳しくことはこのへんの本を読んでいただきたいのですが、「商人の信用情報」を貨幣として流通させていました。

具体的な一例としては、ヴェネチアなどで行われた市ではみんなが期間中に大量の取引をしてその間は一切貨幣は用いません。最終日は買い物は一切せず、売り買いの相殺を行います。つまり他人に売った分と買ったぶんを相殺することでクリアランスをします。その結果を貨幣や他の貴金属などの資産で決済を行います。

ここでは、商人の信用で買い物をしている信用貨幣が動いていますが、その信用のチェーンの最後には商人の持っている売り物の資産や貨幣、貴金属がペッグされ、それがステークとなっています。

 

東洋でも同じようなことが行われていました。世界最古の紙幣と呼ばれる中国宋の時代の交子ですがこれはもともと、銭貨が不足していた四川地方で”銭貨の預かり証”として発行されました。つまり、銭貨をステークして発行していたわけですね。

日本でも紙幣は同じように商人の発行する羽書や各藩が発行した藩札があります。ただ、これも銀貨や金貨の預かり証から派生しており、金貨や銀貨と兌換義務があります。

また、ブレトン=ウッズ体制が崩壊するまでの金本位制の元では金が貨幣の担保となっており、通貨を発行するためにはドルを担保にし、そのドルは金をステークすることで発行が可能になる、ステークのチェーンによって価値を保証しています。

4. ステークのない通貨

これは現在の通貨ですね。

歴史的には3.が崩壊する直前に生まれる通貨というとても不吉なものであるということができます。

つまり、乱発が相次ぐことで3の類型の貨幣がステークとしての意味合いを失ったことで生まれます。

例えば宋の交子は乱発によって価値が大きく下落し、結局使われなくなりました。

また、その後中国東北部を支配した金も交鈔が乱発することでステークとしての意味合いを失い結局使われなくなるどころか、経済を大きく混乱させ、金滅亡の大きな要因となりました。その後の元も実は全く同じルートを辿って滅亡します。しかも元は新興宗教(チベット仏教)にどハマりしてお布施で乱発したのですから本当にどうしようもないですね。

現状の通貨を信用するか

現行の貨幣はまんま4.ですよね。

つまりアメリカの支配力が衰退したためにステークした金がステークとしての意味を失い、3.としてのドルが崩壊したことで生まれた残骸のような貨幣です。

ただし、金や元の時と異なり、きちんとしたプロセスを踏んでステークを無効化したことで経済の混乱は最小限に収まりました。これはものすごく意味のあることです。その上で各国経済が綿密に繋がりお互いににらみ合いをすることで、ファンダメンタルを伴わない乱発を抑えるメカニズムを作り上げました。

それでもなお、ステークのない現行貨幣は政府、および間接民主制の善意に依存した通貨ということがいうことができるでしょう。

一方クリプトは不特定多数のノードにより運営される分散型システムなので、上記のようなにらみ合いのメカニズムは通用しません。そのため、PoWによる計算量や電力のステーク、PoSによるトークンのステークが必要です。

システマティックに見るならクリプトの方が悪意への耐性が非常に高いということがわかるでしょう。しかし、クリプトは貨幣と異なり、世界的に使われてもいなければまだ未熟な技術でシステムとして信用するにはまだ早い気もします。

 

ステークないけど圧倒的シェアの現行貨幣か、ステークあるけど未熟なクリプトか、どちらにベットするかはあなた次第です。