最近の思考実験:もし全世界が一つの財布を使うようになったら

最近の思考実験:もし全世界が一つの財布を使うようになったら

今回は負債論を離れて(実は離れてないのですが)最近よく頭の中で考えていることについてお話ししようと思います.

それは「もし世界中の人々が一つの財布を使ったら」というものです.

そうすれば金融系の問題はある程度解決可能なのではないか,という思いつきです.

財布,ではなくとも分散型で管理される一つの銀行口座を擬似的に共有している場合です.もちろん社会主義のように私有財産を否定しているわけではなく,個々人にそれぞれ「持分」が存在しています.ただ,人類の全通貨が管理される「プール」が仮想的であれ同じであり,それゆえそのエコシステム内に存在する通貨の流動性が無限大に近づいている状態を指します.そのための条件は以下の通りです.

 

  1. 全てのお金が電子化されている
  2. そのお金は全て同一のエコシステム内で管理されている
  3. 一つ一つのお金に所有権は設定されていない
  4. ただし,システム内の持分は各個人に設定されており,その範囲内でしかお金を使えない
  5. このシステムは分散型で管理されている

 

    このシステムが構築されるとどうなるか.
    端的に言うとシステム全体で限界まで信用創造,すなわち個人に置き換えると無限に借金ができるようになります.
    なぜなら借金もお金の支払いもこのシステムだと,バケツの水を一度掬ってもう一度同じバケツに戻しているに過ぎず,個人がいくら借金しようとも,空になるバケツは存在しないからです.
    池上彰さんが前テレビで日本が借金まみれでもある程度は大丈夫な理由として,「日本の借金は日本国民が債権者になっている.家族間でお金を貸し借りするようなもの.」と言っていましたが,それの世界規模,かつ個人バージョン,といった感じです.
    アメリカが割と無限に借金できるのも,アメリカという国は基軸通貨ドルの発行権限を持っているので「世界経済」という大きなシステムの中で借金ができるから,と捉えることができます.この権限を個人に移譲しちゃおう,というアイディアです.
    この「個人バージョン」という部分を担保するためにはブロックチェーンのような安全な分散型システム上に構築される必要があると考えています.中央集権型だとその中央の信用に大きく左右されるからです.
    ただし,個人で無限に借金をマジでやっちゃうとWWⅠドイツも真っ青のハイパーインフレになってしまうのですが.
    なぜこれが金融の問題を解決するのか,という点についていくつか述べたいと思います.
    このシステムの大きな点は「徳政令」,すなわち「借り逃げ」が一定のルールの範囲内で可能になるからです.なぜならこれらの徳政令を起こしても誰かが危機的な状況に陥るということはなく,ある予想可能な範囲でインフレーションが発生するだけだからです.
    これは二つの側面を有しています.
    一つ目は金融危機に対するロバストさです.完全に私見ですが,現代において金融危機が発生した際,政府がとる行動にはいくつかの種類があると思います.金融機関に対する緊急融資.もう一つはニューディール政策のような公共事業を大量にだす方法.

前者も後者も政府が「代理で無から有を創造する」という一点は一致しています.前者においては銀行の代わりに,後者においては労働者の代わりに政府が新たなお金を創造しているのです.しかしこれからの社会において果たして金融危機を乗り越えられるほどの「創造力」が国にあるのでしょうか.また,これらの国自体の権威に大きく左右される救済のあり方は正しいのでしょうか.

    そう考えたときに,「個人が一定のルールに従って無から有を,お金を創造する」という観点は理にかなっています.システムが個人に対して緊急の融資を行う,そしてそれは徳政令の可能性を含んでおり,破滅的なまでには生活を圧迫しません.それによって経済の破滅を防ぐことができると思います.
    無論,返済を促すインセンティブは重要です.例えばコンスタントに返済する人はさらなる信用が与えられ多くのお金を借りられるようにするが,一度徳政令で帳消しにしてもらうとその信用値が大きく下がる,とか.
    もう一つの側面は自然な形でベーシックインカムを導入できるという観点です.最小限の生活をしたい人はお金を最小の信用額で借り入れ,帳消しにしてもらえばよく,お金を持っている,あるいは信用が必要な人はきちんと返すか借りなければいいのです.
    これにより政府に頼らないベーシックインカムもどきが完成します.

また,このシステムは現金を保有することの経済的なインセンティブをなくします.一定の割合で必ずインフレが発生してしまうので現金を持っているとインフレ率 – 機会費用としての利率分だけ必ず価値が目へりすることになり,先述の「ベーシックインカム」と合わせると貯金,特に現金で貯金するインセンティブが失われます.デフレの芽がない時点で現金でお金を所有していることはリスクでしか無くなります.(無論,このシステムは銀行も兼ねているのでこのシステム内のお金は持分に応じてある程度の利息

が付与されます)

    ...といったことを卒論書き書きの合間合間に考えているのですがいかがでしょうか?
    意見等ありましたら是非ぜひお願いします!!!!!